管理ビルのデータをスマートに一元管理!
オーナー向け報告書の作成時間削減に成功

株式会社JR東日本ビルディング(東京都)
(左)総合企画本部 ビル品質管理部 アシスタントマネジャー 松村 希和子 様
(右)総合企画本部 ビル品質管理部 アシスタントマネジャー 櫻井 祐実 様

株式会社JR東日本ビルディングは、JR東日本の不動産事業の中核を担う会社として2005年に設立されました。「駅・街・人をつなぎ、新たな価値の創造をめざす」という企業理念のもと、プロパティマネジメント事業、デベロッパー事業、にぎわい事業の3つの事業を展開しています。JR東日本グループの一員として大規模開発にも携わり、2024年度以降も、順次開業予定の「高輪ゲートウェイシティ」をはじめ、大井町や新宿、中野駅の開発を推進していく予定です。
2022年、管理物件数の増加に加え、大規模開発を控えている状況から「情報の一元化」をテーマとした業務改善に取り組むこととなり、約50棟にのぼる管理物件の各種情報を一元管理するためにassetforceを導入。物件を担当する部署ごとに管理していた各種不動産情報をassetforce上で一元管理・共有することで、それぞれの物件の正しい情報を迅速に入手できる体制を構築。また、assetforceの帳票機能を活用して、ビルオーナー向けの月次・年次管理報告書作成業務を効率化し、水光熱使用量や廃棄物排出量、法定点検などの重要な情報をまとめた報告書の作成にかかる時間を削減。物件を所管する部署や本社担当者の業務負荷を大きく軽減しました。
assetforce導入の背景や導入効果について、同社の総合企画本部ビル品質管理部にてアシスタントマネジャーを務める松村希和子様、櫻井祐実様にお話を伺いました。

株式会社JR東日本ビルディング

  • 本社所在地
    東京都渋谷区千駄ヶ谷5-33-8 SOUTH GATE新宿8階
  • 設立
    2005年7月1日
  • 代表者
    石川明彦
  • 資本金
    4.8億円(東日本旅客鉄道株式会社100%出資)
  • 従業員
    183名(2023年4月現在)
  • WEBサイト
    https://www.jebl.co.jp/
  • 事業概要
    オフィスビル等の貸付業、コンファレンス運営事業、その他

課題と効果

導入前の課題
  • 管理物件に関する情報の保管場所が浸透していないため、知りたい情報をすぐに見つけられなかった
  • 手作業で月次・年次管理報告書の作成を行っていたため入力ミスや計算ミスが発生しやすく、報告書の作成に時間がかかっていた
  • 外出中に管理物件の情報を確認する手段がないため、事前に印刷しておく必要があった
  • お客さまから急に他物件の情報を求められた際、すぐに回答できず、機会損失になっていた
導入後の効果
  • 管理物件に関する情報を全てassetforceに集約し、情報の一元管理を実現。知りたい情報の検索時間が5分の1(5分以上→1分)に削減
  • 月次データの登録や自動集計により、入力ミスや計算ミスがなくなり、作成時間も削減
  • 外出時、事前に印刷しておかなくてもスマホアプリから管理物件の不動産概要情報や図面など確認可能に
  • 物件情報の一元管理により、商談中でも正確な情報を確認してすぐに提供できるため、セールスの支援につながっている

選定のポイント

  1. 画面表示の自由度が高く、操作も簡単
    管理項目を自由に追加できるなど画面表示の自由度が高く、操作も直感的で簡単にできる
  2. 帳票を自由にデザインでき、レイアウトの変更も容易に行える
    従来のExcelと同じレイアウトで帳票を作成でき、レイアウトの変更も自社で行えるため、物件管理の状況にあわせた運用ができる
  3. 蓄積したデータを様々な角度から分析できる
    蓄積したデータを帳票に出力するだけでなく、グラフを作成して時系列の変化の分析を行うこともできる
  4. 外出中もアプリで管理情報を確認できる
    アプリを使えば、外出中もスマートフォンで物件管理情報や図面を確認できる
  5. 導入支援だけでなく、導入後のサポート体制も充実
    不動産管理業務を理解した上での的確な導入支援に加え、導入後もサポート体制が充実

assetforce導入の決め手は、「表示画面や項目変更の柔軟性」「帳票の作成・出力ができる」

―― assetforce導入検討以前に、御社が抱えていた課題を教えてください。

松村希和子様(以下、松村/敬称略):当社はJR東日本グループの一員として、オフィスビルの管理や大規模開発などを手掛けています。年々、管理物件は増加し、現時点で賃貸面積はトータルで48万平方メートルにのぼっています。今後も複数の大規模開発を控え、さらに管理情報が増えていくことが考えられます。こうした状況の中、社内の業務改善を目指す会議体で議論を交わした結果、「情報の一元化」に取り組むことになりました。

櫻井祐実様(以下、櫻井/敬称略):最も大きな課題は、「知りたい情報をすぐに見つけられない」という点でした。当社では現時点で約50棟のビル管理を手掛けていますが、それぞれの物件について、水光熱使用量や廃棄物排出量、各種法定点検への対応期日や対応状況を月次で集計・管理するほか、清掃業者などの外部委託業者の情報も管理しています。
物件の面積や各種設備などの基本情報だけでも150項目、先に挙げた水光熱使用量や廃棄物排出量、省エネルギーに関連するものも合わせるとさらに多くの情報を管理しています。
これらの情報は、各ビルの管理を担当する部署がファイルにまとめ、社内共通のファイルサーバーに保存していました。しかし、ファイル管理ルールが周知・徹底されておらず、担当者によって保管場所やファイルナンバーが異なったりすることも少なくはありませんでした。そのため、まずはどこにファイルがあるのか探し、見つからなければ担当者に確認するという手順を踏んでいたのです。このような状況でしたので、社内やお客さまからお問い合わせがあった際、すぐに正確な情報を回答できないといった課題もありました。

総合企画本部 ビル品質管理部 アシスタントマネジャー 松村 希和子 様

松村:もちろん、共有の保管場所や管理ファイルのひな型はあり、これまでも全社で統一するためのルール作りや呼びかけをしてきましたが、保管場所を把握している社員が異動すると、部署内に知っている人がいなくなるなど、なかなか浸透しませんでした。そのため、新規物件などの情報がアップデートされないままになっているというケースがありました。そこで、情報更新の方法も含め、システム化することが必要だと考えたのです。

櫻井:当社では毎月、ビルオーナーに月次の報告書を提出するために、水光熱使用量などのエネルギー利用状況や、可燃・不燃・ペットボトルといった廃棄物の排出量とリサイクル状況などをまとめています。それぞれの物件担当者に月次の報告書を作成してもらい、当部で取りまとめていますが、さらに年に一度、これらのデータを集約し、年間報告書としてまとめなければなりません。このとき、物件担当者も当部も、再度月次データの入力や集計、チェックを行っていたため、互いに二度手間になっていました。そこで、月次のデータをassetforceに入力し、帳票として出力することで、報告書作成時の労力を極力減らすことができると考えました。

―― 今回、業務効率改善のためにassetforce導入を決定されたポイントを教えてください。

櫻井:物件の基本情報や外部委託業者の情報だけでなく、水光熱使用量や廃棄物排出量の数値データもあわせて管理でき、さらに帳票機能によって必要なデータが出力できるものを探していました。商品・製品の在庫管理等に役立つツールはいくつもありますが、当社が扱っている不動産に関する情報を管理する用途では、assetforceが最適だと感じました。
また、設定項目や帳票レイアウトなどを柔軟に変更できる点もassetforceならではの魅力でした。これまで利用していた報告書や集計表のフォーマットをほぼそのまま再現できると感じましたし、導入後の項目変更も可能です。利用していく過程において、変えたい項目は必ず出てきますので、自社内で簡単に変更ができる点は大きなポイントとなりました。
さらに、分析機能があるところもポイントになりました。ビルオーナーに提出するエネルギーや廃棄物などの報告書には、前年度と比較した詳細な水光熱使用量の分析のほか、対比グラフも載せるため、それなりの手間と時間がかかります。しかし、assetforceを活用すれば入力したデータから分析を行える上、グラフも自動作成できるので、業務を大きく効率化できると考えました。

松村:アプリで情報を見ることができる点も導入のポイントでした。基準階平面図などの情報も管理できるため、面積だけでなく空間の形なども、外出時にアプリですぐに把握できます。営業担当者が物件の提案をする際にも、自社で管理している他の物件の確かな情報を提供することができるので、営業ツールとしても有効だと考えました。

櫻井:三井住友ファイナンス&リースさんの提案力も大きかったですね。不動産管理業務に必要なことをご理解いただいた上で、備えられた機能をどのように使うことができるのか、ご担当者の方が具体的に説明してくださり、私たちのさまざまな要望を実現する方法までご提案いただいたので、安心してお任せすることができました。

知りたい情報がすぐに見つかり、報告書作成の手間や転記ミス削減

―― assetforce導入前の業務において、特に大変だったことを教えてください。

松村:当部では、各ビルの情報を横並びで見てデータ分析し、コストバランスなども含めて適切な管理をするための検討をしていますが、これに必要な情報を探しだすことがとても大変でした。情報が見つからないと、担当者に直接確認をするので、互いの業務が中断され、とても非効率だったと思います。

櫻井:年間報告書の作成では、物件担当者に月次で作成したものとほぼ同じ内容を再度まとめてもらっていましたが、手作業による転記ミスや、過去の計算式がそのまま残っていて数字が合わないなどのケースも多発していました。情報をまとめる物件担当者も、集約する私たちも、一つひとつのデータに間違いがないか確認をしなくてはならず、チェックや検算、差し戻しなど非常に手間がかかっていました。また、分析データをグラフ化する作業にも相当な時間がかかっていたと思います。

松村:外出時には、あらかじめ必要な情報をダウンロードしたり、印刷したりする必要がありました。また、外出先で他物件の情報を確認する場合、担当部署に問い合わせる以外に方法はありませんでした。これは当部だけでなく、物件担当者も同様の状況だったと思います。

総合企画本部 ビル品質管理部 アシスタントマネジャー 櫻井 祐実 様

―― assetforce導入によって情報管理の方法をどのように変更されましたか?また、導入の流れについてもお教えください。

櫻井:物件担当者には、assetforceの入力画面に沿って月々の管理データを入力してもらいます。水光熱の使用量が上下した理由について記入漏れをなくすために、入力が必要な欄には色付けされる仕組みとしました。入力されたデータはそのまま報告書として帳票に出力できますし、グラフ化する際にも該当するデータを選択するだけで自動作成できます。また、月次データが蓄積されているので、年間報告書のデータも簡単に集約・出力ができます。

松村:行政関係への届出項目もassetforceで管理しています。建築基準法や消防法などに対し、ビルとして届出が必要な書類を期限内に提出しているか、提出状況を管理しています。また、予定月に防災訓練を実施しているか、ビルごとに必要な防火管理者を選任しているかという情報も管理するようにしました。さらに、不動産概要の管理情報も、これを機に精査、データ化し、表記基準も統一することにしました。

櫻井:導入時は、assetforceに入力する情報の項目を精査することから始めました。入力項目が決定した後は、三井住友ファイナンス&リースの導入支援担当者の方と相談しながら、画面表示やレポート出力のレイアウト調整、データの計算軸の変更などをしました。入力項目を決めた後も、「ここは変更が必要」という部分が発生しましたが、導入支援担当者の方が迅速に対応してくださいました。操作方法について問い合わせた際は、オンラインで画面を共有しながらレクチャーしていただくなど、サポート体制がとても充実しているので、不安を感じることもありませんでした。
データ移行は、一括アップロードができるため、想像以上に簡単でした。約50棟の管理物件の全ての情報を入れた後、2023年4月からテスト導入し、項目変更などの微調整をしてから7月に全社展開しました。展開時には各部署を訪問して使い方の説明会を開催しましたが、操作性が非常に良いため、説明会後の問い合わせはほとんどありませんでした。

―― assetforceを導入されたことによって、どのような効果がありましたでしょうか。

松村:管理情報を一元化したことで、知りたい情報をすぐに、そして短時間で確認できるようになりました。これまで一つの情報を探すために少なくとも5分以上はかかっていましたが、1分程度でたどりつくようになりました。「そこに保存されている」とわかっていることで、情報を探すことに対するストレスが大きく軽減されましたね。

櫻井:日々の業務ストレスがなくなったことは大きいですね。作業に取られていた時間を考える時間として使えるようになり、より深い分析ができていると感じます。年間報告書の作成はこれからですが、毎月の入力によって自動的に集約できるので、これまで10時間程度かかっていた集約作業が完全になくなるだろうと考えています。

松村:各部署での一元管理が確実に行われるようになったと実感しています。今後、担当者が変わった場合でも、業務の引き継ぎをスムーズに行え、属人化を防ぐことができると思います。また、知りたい情報がそこにあるため、物件情報について社内から問い合わせや確認を受ける機会も減ったのではないかと感じています。
これまでに、ビルを運営管理する部署の部長から、「assetforceの情報管理が役に立った」という声が直接届いたこともあります。また、営業担当者からも、アプリで物件情報を閲覧でき、図面などの情報も管理・共有できるため、細かなスペックの確認などにも役立っている、非常に便利だと言われています。

assetforce導入で情報管理の方法が変わることに抵抗感を持つ社員もいたと思いますが、実際に触っていくうちに、データの蓄積や情報共有のメリットを少しずつ感じているのではないでしょうか。システムそのものが変わり、日々、触れる状況となった結果、「実はすごく便利」「使い勝手が良い」という良さを感じ、納得してくれたように思います。

管理面積あたりの比較指標を決めて、委託コストや人員配置などの分析にも役立てていく

―― 今後、assetforceをどのように活用していかれるご予定でしょうか。新たに検討している業務や展望についてもお聞かせください。

櫻井:現在は、基本情報や月次報告に必要な情報を管理していますが、今後は、ビルを横並びで見るための情報も一元化していきたいと思います。
管理面積あたりの各種データを比較できるような指標を定めて分析を行えば、新たに管理物件が増えても、その指標をもとに方向性を検討することもできます。近い将来、業務委託のコストや人員配置の面で設備や警備における適正人員数なども検討が必要となるので、assetforceへの落とし込み方法を考えたいと思います。

松村:会社として情報管理の手法を整理していくことは必須でした。今回、それに着手し、スムーズな情報探索ができる一元管理が進んだことで、高いレベルでの効率化が図られたと感じています。
現在、導入後の運用も落ち着いてきましたので、今後はさらなるデータ活用を進めていこうと思います。これからの時代には、こうしたツールを活用することが非常に重要だと思います。

よくある利用シーン
業務プロセスごとに発生する課題をどのように
解決できるのか、assetforceのよくある利用
シーンをご紹介します。